たとえばある企業に情報システム部がある。システムの調達を外部企業からしていたが、組織内で内製化したほうがコスト安になるという理由で社内システム化した。この判断は限定合理的なものであった。このケースでは、結果的に間違っていたということになる。
多額の費用(機会損失費用を含む社内費用)をかけてシステム開発・・・。しかし、そのシステムの保守料はコスト高であったとしよう。組織としてはその膨大な埋没費用、つまりシステム開発費用を回収できなくなる。したがって、結果的に市場から調達したほうがコスト安であるが、コスト高のシステムを利用しつづけるようになるだろう。組織の不条理の発生である。
逆もありうるだろう。市場から調達したシステムだが、社内開発したほうがTCOが安かった場合。しかし、システムを導入したコストが高くスイッチングコストが非常にかかる。したがって、この場合もまたコスト高のシステムを利用しつづけるという不条理が発生する。また、それがシステム化のもつリスクの一種だ。
【参照】
- 作者: 菊澤研宗
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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